世界観

カメラのファインダーごしに覗く世界は、ファインダー越しに見ている自分の世界に過ぎないのだということを写真家の中平卓馬が言っていたように思う。氏はそのことを嘆いていた。つまり写真に世界をおさめようとしたところで、自分というフィルターを通さざるを得ないことに限界を感じていた。彼が晩年に作風を大きく変化させたのはそういう経緯がある。わたしが見ている世界も、わたしのとぼしい五感で濾したものに過ぎない。わたしはそのことにすこし安心している。