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上京してから半年以上経った。
冬の後半に越してきたから肌寒くなってくるとこっちにきたころを思い出す。
いろんな人に世話になった。毎日のように新しい人と知り合った。ネットゲームの世界にバフ効果という概念がある。ポーションを使って攻撃力や防御力が一時的にあがることをいう。わたしの上京というのはなんだかそんな感じがあった。迎え入れてくれた方々へここで私信を。ありがとうございました。

ずいぶんと色んな人から歩くのが早いといわれた。いままで歩調をゆるめる必要がなかったからだ。申し訳ないと思うと同時にすこし嬉しかった。ところが相変わらずまだ歩調は遅くならない。そんなものだ。
あっという間に時間は過ぎた。
東京にも慣れた。線路図と行動の記憶が一致するようになった。自分が歩いた場所をまたなぞることが出来るようになってきた。繰り返していくうちに町並みは少しずつ変わって、気づいたら自分もまわりも変わっているのだろう。けれども歴史は変わらない。わたしの個人史もまた変わらない。それは痛恨でもあるし救いでもある。すなわち無駄なことはひとつもなかった。それ以上でも以下でもない。いろんな年度のいろんな時間帯のわたしが同時発生的にいるんだろうと思う。その全体図は眠っているときにしか見せてもらえないのだろう。人生は総括を免れつづけるのだろう。他者が決定をくだしたところで、そこにわたしはもういない。