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フォースを感じる

『リズムとフォース』という本を読んだ。

ドローイングの教本なのだが、実践的な技術書というよりは〈見方〉について書いてある。おおむね、デッサンや絵画について書かれた読み物として面白い本というのは〈見方〉について書いてあるように思う。

 同書にはフォースという用語が頻繁に出てくるのだが、これは線画における動線を指す。人体がなんらかのポーズを取ったとき、左右対称である瞬間はほぼ無い。そうすると重心がかかる力、引き上げる力が上下左右に働く。このときのパワーともいうべき動的な力のことをフォースと呼んでいる、とわたしは解釈した。(詳しくは本を読んでね)

 フォースはわたしの今の身体にも作用している。オフィスチェアの上にあぐらをかいて、前傾姿勢でキーボードをタイピングしている姿勢。背中は丸まった曲線、キートップに這わせた指は直線、こういった線のリズムもまた楽しく、同書の中でフォースと同様に扱われる重要な要素だ。音楽や舞踏のように線を描ければどれほど楽しいだろう。しかしそれをするには、音楽や舞踏のように線を見ることからで、『リズムとフォース』はこういった観点を与える素晴らしい本だった。

 わたしはこの本を読んでから、友人知人に突然「フォースを感じる」と言うようになった。そのたびに不穏な空気になるのだが、人間社会はそれでも一定のリズムで動くのである。